新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、学校教育も活動の幅を広げるようになって一年間が経つ。この間、都算研においても公開授業や研究発表会、研修会など様々な取組をオンライン形式から対面形式に戻して実施してきた。対面形式で行えるようになったことで、授業参観や研究協議会、研修会などで対象となる相手の表情や反応、思考が変わっていく様子までもつぶさに感じ取れるほどになり、改めて対面形式で得られる情報の多さや深さを再認識した一年間であった。
本研究会では、過去20年以上にわたり「数学的な考え方」の育成に焦点を当て、その指導と評価について研究に取り組んできた。この流れを踏まえ、平成29年に告示された学習指導要領の改訂を機に、研究主題を「数学的に考える資質・能力を育てる指導と評価の在り方」とし、主題の達成を目指した研究を継続している。先の対面形式として再始動した研究の推進は以前の都算研の勢いを取り戻し、「令和の日本型学校教育」として示された「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を目指した授業改善も、タブレット端末などのICT機器を活用することによって学ばせ方の幅を広げた実践がなされている。
学習指導要領における算数科の目標は、「数学的な見方・考え方を働かせ、数学的な活動を通して、数学的に考える資質・能力を育成することを目指す。」と示されており、児童が「数学的な見方・考え方」を働かせて問題解決することが強調され、学びの鍵となっている。大きな変化の中ではありながらも、指導者は学びの鍵となる「数学的な見方・考え方」を児童が働かせることの重要性を改めて確認し、目標の達成を目指して日々の実践を丁寧に重ねていくことが求められる。
そこで、令和6年度もこれまでの研究主題を継続し、対面形式による取組や授業における展開の工夫、さらには、ICT機器の活用を充実させながら、「算数・数学の問題発見・解決の過程」を大切にした学習を通して、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の数学的な資質・能力を育成していきたいと考える。
そのためには、研究委員会・授業研究委員会・実態調査委員会・資料委員会の部内4委員会がそれぞれの役割を担い、これまで以上に委員会間の連携を強化させることが不可欠である。このことを踏まえ、都算研研究部では算数学習における全都の児童の実態を的確に把握し、実態に基づいたより良い指導の在り方を示すとともに、教材の本質に迫った授業の在り方を示していく。令和の時代を生きる児童に必要な力を着実に身に付けさせるために、研究部に属する委員の全てが研鑽を積み上げるとともに求められる算数教育の在り方を先駆的に研究し、各区市町村研究会との連携を図りながらその成果を発信することで、全都の算数教育の充実・発展を牽引していきたいと考える。